【ファスト映画】著作者侵害で逮捕↓なぜ削除されない?

日記

こんにちは。坊主です。

今回は、「ファスト映画」を取り上げます。

2021年6月20日、ファスト映画の問題がNHKで取り上げられ世間の注目を集めています。

ファスト映画とは、著作者に”無断”で映画を10分程度に要約し、それをYouTubeにアップしているチャンネル全般を指します。

新型コロナウイルスの影響で外出が自粛されたことで、映画などの自宅で楽しめる娯楽に対するニーズが急増しましたが、そうした背景も後押ししてファスト映画の違法動画が乱立することになりました。

この事態を重く見たCODA(コンテンツ海外流通促進機構)が刑事・民事の両面で動き出したのです。

一体、ファスト映画とはどんなチャンネルなのでしょうか?

CODAがファスト映画に対して刑事告訴+損害賠償を求める動き

ファスト映画に対する法的措置について「NHK NEWS WEB」は次のように報じています。

1本の映画を無断で10分程度にまとめてストーリーを明かす「ファスト映画」と呼ばれる違法な動画の投稿が、
YouTubeで急増し、著作権を持つ映画会社などの団体が調査を始めました。

この1年で950億円余りの被害が確認され、
団体は投稿者の特定を進め、
法的な措置に乗り出しています。

アカウントの所有者はひと月で数百万円の広告収入を得ている可能性もあり、
CODAは、本編が見られなくなることによる被害の総額を956億円と推計しています。

CODAは映画会社などと連携して、
悪質なアカウントについて、
YouTubeの本社があるアメリカの裁判所に投稿者の情報開示を申し立てているほか、
警察に情報を提供して告訴などを行うことにしています。

※「https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210620/k10013094761000.html」より引用

CODAの調査・試算によると、ファスト映画による被害金額は”この1年”だけで950億円にも達するようです。

確かに、これだけの損害金が発生していれば、ファスト映画の存在を放置するわけにはいかないでしょう。

世間の反応

ファスト映画

再生数が多い動画は大抵サムネとタイトルで視聴者を釣ってるからほんと不愉快。

消えて。

ファスト映画、全く好きじゃないし
法的に問題あるなら即BANされろと思うが、
それらに対する批判として過剰に「映画愛」を持ち出されるのも居心地悪い。

ファスト映画系の動画、
Youtubeでオススメに出てきて自分の好きな映画のだったから
どう紹介されてるかが気になって1度見てしまったことがあるんだけど、
ラストの結末も何もかも全部説明されてて
視聴者にその映画を観てもらおうって気持ちが皆無でビビった記憶がある

その時から嫌いだわ

ファスト映画は”二重”に著作権侵害をしている

ファスト映画の問題点は「著作権侵害」です。

今回のケースでは映画(コンテンツ)を制作した著作者の権利が侵害されたことを理由に、刑事および民事での法的措置が行われているというわけです。

しかし、ファスト映画の問題はそれだけではありません。

実は、ファスト映画は著作権を”二重”に侵害している可能性があるのです。

著作権を侵害されている”もう一方”というのが、ファスト映画で使用されているナレーションです。

このナレーションはAIで読み上げられているケースもありますが、実在する人間が読み上げている場合があります。

しかし、いずれのケースにおいても、読み上げられている”あらすじ”はオリジナルではない可能性があります。

実は、このあらすじにも原文(オリジナル)が存在しており、ファスト映画はそれを盗用しているだけなのです。

あらすじの原文を盗用された方の主張がこちらです。

上記の通り、このケースでは「MIHOシネマ」に掲載された文章がファスト映画に盗用(無断転載)されていたのです。

つまり、ファスト映画は「映画(コンテンツ)」と「あらすじ(ナレーション)」の両面で著作権を侵害しているというわけです。

ちなみに、MIHOシネマから文章を盗用していたチャンネルは「ファスト映画 力丸」といい、この告発を受けてチャンネルを削除しています。

ただ、この投稿者は既に別のチャンネルを立ち上げ、ファスト映画の投稿を続けていると思われます。

しかし、原文を盗用された被害者は「ファスト映画 力丸」を相手取り、裁判も辞さない姿勢を見せています。

この被害者は刑事告訴も視野にしているため、場合によっては逮捕も十分にあり得る事案と言えます。

逮捕される?

コンテンツの盗用を受けて、CODAはファスト映画に対して刑事告訴に踏み切りました。

ファスト映画の投稿者が特定された場合、逮捕されることはあるのでしょうか?

結論から言えば、投稿者が逮捕される可能性は十分に考えられます。

それを端的に示す事例が「漫画村」です。

漫画村の運営者である星野路実(ろみ)は「著作権法違反」で逮捕・起訴されており、懲役3年の実刑判決が確定しています。

星野は2016年~2018年の3年間に亘って人気漫画を無断で掲載し続け、数千万~数億円レベルの広告収入を得ていました。

警察が星野の逮捕に踏み切った理由は、犯行の悪質性が考慮されたからでしょう。

そのため、今回のファスト映画でも「期間」や「常習性」「収益」「再生回数」などが総合的に考慮され、「悪質」と判断されれば逮捕は免れないでしょう。

【6月23日追記】ファスト映画で全国初の逮捕者

ファスト映画による著作権法違法の疑いで、全国初となる逮捕者が出ました。

逮捕されたの札幌市に住む高瀬拳也(26歳)で、高瀬とは別に男女2人も逮捕されています。

同時期に逮捕・発表されていることから、この3人は共犯で同じチャンネル(アカウント)を運営していたと思われます。

高瀬が運営していたファスト映画のチャンネルについては以下の記事をご覧ください。

ファスト映画が削除されない理由は?

著作権を侵害しているファスト映画ですが、なぜ削除されないでしょうか?

実は、こうした違法チャンネルはYouTubeのAI判定によって削除されているのです。

しかし、ファスト映画の投稿者は複数のアカウントを所持しているため、1つのチャンネルが削除されても、即座に別のチャンネルを立ち上げることが出来てしまうのです。

AI判定による削除を上回るスピードで違法アカウントが作成されていることから、一見すると「削除されていない」と錯覚してしまうというわけです。

もちろん、ファスト映画の中には”息の長いチャンネル”も存在しています。

ただ、どのチャンネルを削除するのかはYouTube側の一存であるため、現在でも生き残っているチャンネルは「運が良い」というだけで、いずれは削除されるでしょう。