こんにちは。坊主です。
今回は、「長沼ナイキ訴訟」(1969年)を取り上げます。
北海道 夕張郡 長沼町に航空自衛隊が「ナイキ地対空ミサイル基地」を建設しようとしたことが発端となり、地元住民と国が対立。
「ミサイル基地の建設」および「自衛隊の違憲性」が問われた「長沼ナイキ訴訟」ですが、ここに来て世間の注目を集める事態となっています。
一体なぜ、長沼ナイキ訴訟が再び問題となったのでしょうか?
今回は、1969年に起きた「長沼ナイキ訴訟」について調べてみました。
裁判所が「長沼ナイキ訴訟」の裁判記録を破棄
2019年現在になって長沼ナイキ訴訟が問題となっている原因は、その裁判記録にありました。
実は、本訴訟の裁判記録を裁判所が破棄していたことが明らかになったからです。
自衛隊に一審札幌地裁で違憲判決が出た長沼ナイキ訴訟や、
沖縄の米軍用地の強制使用を巡る代理署名訴訟をはじめ、
合憲違憲などが争われた戦後の重要な民事裁判の記録多数を全国の裁判所が既に廃棄処分していたことが4日分かった。
代表的な憲法判例集に掲載された137件について共同通信が調査した結果、
廃棄は118件、
保存は18件、
不明1件だった。判決文など結論文書はおおむね残されていたが、
審理過程の文書が失われ、
歴史的な憲法裁判の検証が不可能になった。
※「KYODO」より引用
(2019年8月4日配信)
世間の反応
歴史的文書は破棄してはいけない。
どんな内容であれ
後世に真実は伝えなければいけない。
日本の司法関係に、
後世に真実を伝えられては都合が悪い勢力が紛れ込んでいると見ることもできる。早急に手を打たないと、
思ってる以上に事態は深刻かもしれない。
意図的にでしょう?明らかに。
今のこの国だもの。
長沼ナイキ訴訟とは?わかりやすく簡単に解説
1969年に発生した長沼ナイキ訴訟ですが、ことの発端は航空自衛隊がミサイル基地を建設しようとしたことでした。
その際、ミサイル基地の用地を確保するため、当時の農林大臣が国有保安林の指定を解除したのです。
伐採や土地開発などを制限・禁止されている森林のこと。
しかし、
「公共用の道路」や「送電線の設置」など”公益性”がある場合の開発であれば、
保安林の指定は解除される。
この保安林の指定解除に地元住民が猛反発した結果、訴訟が提起されたというわけです。
もともと保安林は自然災害などを未然に防ぐことを目的に指定されています。
保安林がなくなり、ミサイル基地が建設されれば、地元住民は自然災害から身を守る手段がなくなります。
そのため、「保安林の保護」を目的としてミサイル基地建設の訴えを起こしたというわけです。
訴えを起こす際、住民(原告)が主張したポイントは次の2つです。
(1)保安林がなくなることで洪水の危険性が増す
(2)自衛隊の存在は憲法に違反している(違憲)
これらを理由に、ミサイル基地建設の棄却を求めて提訴しました。
その結果、第一審では次のような判決が下されたのです。
(1)自衛隊は「戦力」に該当することから違憲である
(2)自衛隊のために保安林を解除することは公益目的ではない
この判決結果からも分かるように、第一審は住民の全面勝訴だったのです。
しかし、この結果を不服として国は控訴し、争いの場は高裁(第二審)へと移ります。
裁判の判決(結果)は?
第一審の結果を不服として国が控訴した第二審では、一転して住民の敗訴が言い渡されたのです。
(1)洪水の危険性は、防衛施設庁がダムを建設することで回避できる
この判決では、国側の全面勝訴なりました。
しかし、第一審とは違い、「自衛隊の違憲性」については明言を避けたのです。
これを「統治行為論」と言います。
統治行為論とは、「裁判の内容が高度に政治性を孕む場合、裁判所はその判断をしなくても良い」という意味です。
ナイキ訴訟の場合、「自衛隊が合憲か違憲か」という論点が「高度な政治性」に当たります。
統治行為論に基づき、第二審では自衛隊の違憲性に言及することなく、「保安林の解除」がもたらす危険性のみを判断したというわけです。
当然、第二審の結果を不服として住民側は最高裁へと上告しました。
しかし、最高裁での判断は「訴えの利益なし」と判断して、原告の主張を棄却したのです。
つまり、
「訴えの利益がない」とは、
「裁判所で審理するほど重大な事件ではない」という意味となる。
今回の長沼ナイキ訴訟は、最高裁に訴えを棄却されたことで第二審の判決が確定となりました。
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